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自己破産後に賃貸物件に住み続けることは可能?借りる際のポイントも解説

賃貸物件の契約について

関口 静男

筆者 関口 静男

不動産キャリア12年

夜遅い時間帯に対応できる不動産会社は少数派です。
常に応答できるわけではありませんが、弊社は執務しているスタッフが居る場合もございますので、まずは夜分でもご遠慮なくお電話下さい。

自己破産後に賃貸物件に住み続けることは可能?借りる際のポイントも解説

借金の返済が困難になった場合、手続きをおこなうと借金の支払い義務が免除される「自己破産」があります。
自己破産を機に、家賃が安い場所に引っ越しをして、生活を立て直したいと考える方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、自己破産後も賃貸物件に住み続けることができるのか、新たに賃貸物件を借りることはできるのか、賃貸物件を借りやすくするポイントを解説します。

自己破産をしても賃貸物件に住み続けることは可能?

自己破産をしても賃貸物件に住み続けることは可能?

自己破産をしたら、現在住んでいる賃貸物件から追い出されるのかと心配になりますよね。
まず、賃貸借契約は、原則として自己破産だけを理由に解除されることはありません。
自己破産後も契約中の賃貸物件に住み続けることができます。

破産法の改正により住み続けることが可能に

以前は、賃貸人が自己破産した場合、賃借人が賃貸人に対して解約を申し入れる権利(賃貸解約権)が認められていました。
しかし、2004年の破産法改正により、賃貸人が家賃未払いになった場合でも賃借人の権利を保護できると判断され、破産を理由とした賃貸借契約の解除を認める規定が削除されました。
これにより、現在では自己破産を理由に賃貸借契約を解除することはできません。
仮に契約書に「自己破産をしたら契約を解除する」といった文言があっても、法的には無効とされます。
したがって、自己破産をしても安心して賃貸物件に住み続けることができます。

家賃を滞納していた場合はどうなる?

自己破産が理由で賃貸借契約が解除されることはありませんが、家賃の滞納は契約解除の理由になるためご注意ください。
自己破産前に滞納していた家賃は、免責の対象となり返済義務が免除されますが、破産手続き開始後に発生する家賃は免責の対象にはなりません。
家賃の支払いは1日でも遅れると問題になります。
数日間の滞納であれば電話連絡が来るでしょう。
しかし、1か月遅れると書面で督促状が送られ、3か月滞納すると内容証明で解除通知が届く可能性があります。
具体的にどれくらい滞納すると解除になるかは契約によりますが、一般的には3か月以上の滞納が目安とされています。
たとえば、3か月連続や合計で5か月分の滞納など、賃貸借契約書に記載されている場合もあるため、契約書をよく確認しましょう。

自己破産後に新たに賃貸物件を借りることは可能?

自己破産後に新たに賃貸物件を借りることは可能?

家賃が収入に見合わない物件の場合、破産管財人から退去を促されることもあります。
自己破産後の生活水準を考慮して、家賃の支払いが難しい場合は、安い家賃の物件に引っ越すのが良いでしょう。

自己破産しても新たに賃貸物件を借りることは可能!

自己破産後でも賃貸物件の契約は可能です。
もちろん、大家さんや不動産会社による入居審査があるため、すべての賃貸物件を借りることができるわけではありません。
賃貸物件によっては、支払い能力や年収が厳しくチェックされるため、自己破産した方は注意が必要です。
大家さんが「一度自己破産した方に部屋を貸すのは心配だ」と感じれば、審査に落ちる可能性もあります。
また、保証会社との契約が必須となる物件では、保証会社が契約者のクレジットカードやローンの信用情報、過去の家賃滞納などを確認して審査をおこないます。
自己破産の経歴もチェックされるため、保証会社の審査に落ちる場合もありますが、賃貸物件を選べば引っ越すことは可能です。
物件によって審査の通りやすさ・通りにくさは異なるからです。
自己破産をすると「アパートやマンションなどの賃貸借契約ができない」などの法律や規則はありません。
自己破産は生活を再建するために法律で定められた救済制度であり、誰でも利用する権利があるため、懲罰的に扱われることはありません。
また、一般的に自己破産をしたことが不動産会社や家主(大家)に知られることもないです。
「信用情報機関」や「官報」には、自己破産した事実が登録・記載されますが、不動産会社や家主がこれらの情報を確認することはほとんどありません。

入居審査のチェック方法

各家賃保証会社は、賃貸物件の契約を申し込んだ方の支払能力を確認する基準を持っています。
信用情報機関に加盟している家賃保証会社の場合は、信用情報機関に登録された個人の信用情報をチェックするのも基準の1つです。
信用情報には、クレジットカードやローンの利用状況、滞納状況、そして自己破産の情報も含まれます。
信用情報機関に自己破産の記録がある場合、その方は「支払能力がない」とみなされるため、入居審査に通ることはほぼありません。
「自己破産したら賃貸借契約を断られた」というケースは、このパターンが多いです。
家賃滞納記録を共有している家賃保証会社の場合は、信用情報機関を通さずに入居審査をおこなう家賃保証会社もあります。
この場合、家賃保証会社が自己破産の情報を知ることはないため、入居審査に通る可能性は十分にあるでしょう。
ただし、入居審査をおこなう家賃保証会社が信販系の信用情報機関や「LICC(全国賃貸保証業協会)」に加盟している場合、家賃滞納記録を共有しているため、入居審査が通りにくくなる場合があります。
自己破産した場合、少なくとも自己破産の情報や家賃滞納記録が消えるまで5年~10年程度かかります。

自己破産後に賃貸物件を借りるポイントとは?

自己破産後に賃貸物件を借りるポイントとは?

では、自己破産をした後に賃貸物件を借りるためには、どのようにすれば良いのでしょうか。
最後に、自己破産後に賃貸物件を借りる際のポイントについて解説します。

①保証人不要のUR賃貸住宅や公営住宅を利用する

賃貸借契約には保証人が必要ですが、自己破産後は信用が低く、保証人を見つけるのが難しいでしょう。
また、保証協会の審査に通らず、保証協会を利用できないことも考えられます。
そのような場合には、UR賃貸や公営住宅を利用するのも選択肢の1つです。
UR賃貸住宅とは、UR都市機構(独立行政法人都市再生機構)が管理・提供する賃貸住宅のことを指します。
保証人が不要で契約できるうえ、礼金や仲介手数料も不要なため、初期費用の負担が軽いのがメリットです。
ただし、家賃が相場より高いことがあるため、収入が低い方は注意が必要です。
一方、公営住宅とは、地方公共団体が建設や買い取りをおこなった賃貸住宅のことを指します。
市営住宅や県営住宅とも呼ばれ、低所得者が利用できるように家賃が低額に抑えられており、自己破産後でも住みやすい物件です。
ただし、入居には所得制限があり、家賃は所得によって変動します。

②連帯保証人を立てて賃貸借契約を結ぶ

連帯保証人とは、借主が家賃や修繕費用を支払えなくなった場合に、代わりに支払ってくれる方のことです。
保証会社を利用すると、滞納などの問題が発生した場合にもスムーズに対応してもらえます。
しかし、自己破産をすると審査に通らず、保証会社を利用できないことがあります。
その場合は、保証会社を通さずに連帯保証人に依頼する方法を検討すると良いでしょう。
連帯保証人は誰でもなれるわけではありませんが、一定の条件を満たす親族であればなることができます。
連帯保証人にもオーナーや管理会社からの審査がありますが、家族や親族に連帯保証人になってくれる方がいる場合は、ぜひ検討してみてください。

③契約者を変更して賃貸借契約をする

どうしても住みたい物件の審査に落ちた場合は、契約者を変更して再審査を申し込む方法があります。
同居人がいる場合、その方に契約者になってもらうか、支払い能力のある親や兄弟に契約者になってもらいましょう。
ただし、一緒に住まない方が契約者になると契約違反になる可能性があります。

まとめ

自己破産後も賃貸物件に住み続けることは可能です。
ただし、入居審査によっては、新たに賃貸物件を借りることが難しい場合があります。
入居審査に通るポイントは、公営住宅の利用や連帯保証人を立てる、契約者を変更することです。


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